黄金仮面の王

闇塩売り Les Faux-Saulniers

シャルル・モラースに どういうわけで王のガレー船の櫂を漕ぐこととなったのか、それを話すのは屈辱に過ぎる。だが、十五ピエのペン*1を握って水に数書く人種は五通り、トルコ人*2か新教徒、塩の密売人に脱走兵、それに窃盗犯−−その中から最悪と思うものを選…

序文 Préface

この書物には、いくつもの仮面と隠された顔が収められている。黄金仮面の王、毛皮の面をかぶった未開人、ペストに面貌を蝕まれたイタリアのならず者と作りものの顔を持つフランスのならず者たち。赤い帽子に頭を包んだガレー船徒刑囚。鏡の中でたちどころに…

オジグの死 Le Mort d'Odjigh

J・H・ ロニーに 人類が滅びの淵に立たされていたそのころ、太陽の輝きは月の冷たさに満ち、とこしえの冬に大地はひび割れた。地底の燃えるはらわたを天へと噴き上げ屹立した山々も、すでに灰色に凍る溶岩におおわれてしまった。幾条もの亀裂が、ここでは…